最近の傾向として、華のある仕事は建築やランドスケープ、土木的な分野においては民間開発ベースのものが優位性が増しています。
人の集まるところには、付加価値として形をデザインしたもの、造形物を設置することに理解もあり、人の目にもとまりがち。
地方では民間開発ベースのものが少なく、どちらかというと公共整備ベースのものの割合が多く占めます。
土木やランドスケープの分野においては、地方ではなかなか数をこなす機会に恵まれなく、空間を創造する力、思考力を業務の中で訓練していくことは難しいことも言えます。
せっかく、空間を創造する機会のある仕事でも、いち土木的な技術視点のみでこなされてしまうこともあり、空間整備する意味合いが薄れてしまうこともしばしば。
(業務を請ける会社側の技量にもよりますが、発注側の仕組みについても多少問題はありそうです。本当は、専門的な業務はそれをこなすにふさわしい会社を指名に入れるべきなのですが、地方では会社のコマも少なく、造園、土木の会社がひとくくりにされてしまいがちな一面もあります。そして、専門的な会社も少ないのも事実であり、どうすることもできない状況でもあります。)
もし、学生のうちに設計課題などで空間を創造する機会があったときは、いろんな思考力を働かせて考える力を養ってください。そうすれば、地方でも数少ない業務の中において、何らかの形で創造力を活かす事が可能な物件にめぐり合ったときに力を発揮することができると思いますので。
地方でも、学生のときに建築、土木、ランドスケープデザインの基礎を学んだ方々が、社会に入って将来的に業界全体を底上げすることに寄与することができれば、地方の抱えている技術の低迷や思考力のマンネリ化は多少なり軽減できるはず。
少しずつでも、従来の考え方を打破していきながら21世紀型の新しい考え方を採り入れていければ、専門で学んだ学生さんを業界で受け入れることも可能でしょうし、すでに業界内で働いている人にもこのままではいけない、従来の考え方だけではいけないという危機感を覚えることにもつながるのではないでしょうか。
地方では、確立された技術をこなすことができても、創造論的なものがまだまだ弱い感じがします。デザイン的なものはなおさらです。
自分も学生時代の方が、発想が自由で豊かだったなと感じるくらいですから、地方の建設系業界はまだまだ発展途上なのでしょう。
そして、学生時代の頑張りの方が華があったと感じてしまうさみしさがあります。
「他地方のデザインを見て、自分のいる地方のデザインの良し悪しを考える。」
閉鎖的な環境に慣れてしまわないよう、地方で建設系の業界で働くときはできるだけ視野を広く持つよう、行動範囲を地域に限定することなく(もちろん、地域を十分見ることは必要)、いろいろ見てまわる、見て学ぶことが必要です。
都市部に勤める技術者よりも、情報収集面で苦労することのないよう、人一倍アンテナを張り頑張らなくてはいけないのが、地方でやっていくための技術者に必要なことであります。